千葉県館山市立北条小学校は、児童の学習カリキュラム(プラン)や資料を保存・管理してきた「カリキュラム管理室」の仕組みで50年以上に渡り日本の教育現場のお手本的存在であり続けてきました。

この膨大なアナログ資産をこれからのデジタル時代に上手に受け継いでいくために、公教育の現場に導入された学校ICTの事例をご紹介します。

導入企業:千葉県館山市立北条小学校様
ディレクションパートナー:株式会社ワングリット様
利用ソリューション:TOC-Cata

カリキュラム管理室

千葉県館山市の北条小学校には「カリキュラム管理室」という部屋があります。この部屋には、学年・学科・月別に作られた660の棚があり、指導案・ワークシート・子どもの活動記録・写真などが指導者の反省などとともに納められています。

カリキュラム管理室は昭和41年に創設され、教師の共有財産として今日まで活用されています。

その結果、常に質の高い水準で「指導の標準化」を実現している数少ない学校です。

「棚」という名の「ディレクトリ管理」

カリキュラム管理室の棚は、年度の変わり目などに引き出しの配列や中身を変え、常に有益で新しい情報を引き出せるように管理されています。これはデジタルの世界でいうとディレクトリ管理に置き換えることができます。同校は既に「棚」というプラットフォームを用いて「ディレクトリ管理」を実践しているのです。そしてその中には様々な「コンテンツ」が紙のかたちで格納されており、職員の共有財産として、だれがいつ見ても、いつ使ってもいいように運用されてきました。

当時では画期的なこの概念を崩すことなく、上手くデジタルにシフトしていけないかとポルタルトに相談が入りました。

デジタルで新たな風を吹き込む

まずポルタルトが重視したことは、「これまでの運用やアナログのいいところは活かし、そこにデジタルならではの発想を盛り込む」ことでした。そこで、まずは紙の資料をスキャニングのうえデジタル化し、弊社フレームワーク「TOC-Cata(トッカータ)」に蓄積をしました。TOC-Cataはデータベースでありながらインタフェース部に「ドリルダウン」手法を採用しているので、ユーザーからの見た目はとても直感的です。まるで棚の引き出しを開け閉めしているような感覚で閲覧ができます。さらにアナログにはなかった複雑な構造を持たせることも可能です。

「欲しい情報」にたどり着く手段は、探す人の立場によって変わってきます。例えば新任の教師とベテラン教師とでは、探す過程に違いが見られるはずです。TOC-Cataはそこに着目し、目的の情報への導線を自由に張ることができる機能が用意されています。いつでも必要なときに、あらゆる立場の人をナビゲートできる機能です。

「デジタルファースト」を目指して

今後の取り組みとして、コンテンツソースを紙からデジタル(PDF)に、情報の蓄積先をクラウドストレージにシフトしていくことを模索しています。

そうすることにより、同校の理念でもあるカリキュラムの開発、評価、改善、更新(プラン実践検証サイクル)がほぼリアルタイムに実現できます。

※画面写真等は一部サンプルおよびダミーデータを含んでおり、実際のものと異なる場合があります。あらかじめご了承ください。